No.028
寂色の冬
誰にも見せたくないてのひらを
そっと広げてみれば
それは冬、
冬の色でした。
それはさむい、さみしいろいろ、
まっかでまっさおでまっくろでまっしろな
冬、
冬の色でした。
あのひとは
まっくろのなきいろ、
このひとは
まっしろのさみしいろ、
(お顔の色を伺うのが癖で、
冬は特に、
そういう季節、ですよね)
誰にも見せたくない
てのひらを
そっとコートに仕舞い込んで
歩いている
あのひとはなにいろ
このひとはなにいろ
冬の空気に刺されれば
みんな、
その色に
染まるのでした。
即興ゴルコンダのお題拝借
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